思っていたのと違う!?ホームステイの理想と現実
「ホームステイってした方がいいですか?」というご質問や相談をよくいただきます。個人的にはぜひ経験していただきたいですが、人によってはホームステイという滞在方法自体、合う合わないはあります。今日は「ホームステイの理想と現実!ホームステイがうまく行く人とうまく行かない人の違い」について少しお話ししたいと思います。
みなさん、ホームステイってどんなイメージでしょうか。あれこれイメージできる方もいれば、そもそも全然イメージできない!という人もいると思います。
イメージは人それぞれだと思いますが、長年カウンセリングをしてきて、日本人が思い描くホームステイのイメージは、日本のテレビ番組の影響が大きいのだろうな、と思うことが多くあります。
「一般的なホームステイ」というのも国が変われば事情が変わります。今回はBlossaの生徒さんが多いカナダ、オーストラリアを中心にご案内します。アメリカもほぼ同様です。参考にしてください。
日本人がイメージするホームステイ
まず、みなさんが思い描くホームステイ、理想のホームステイとは、どんな感じでしょうか。これまでにいただいている希望や理想をまとめると、こういう内容が多いです。
- 白人のご家族で、優しいお父さんとお母さんがいて、かわいい子供も何人かいる、ペットもいる
- 毎日全員でお母さんの手作りの美味しい晩御飯を囲んで家族で団欒
- 週末はホストファミリーがどこかに遊びに連れて行ってくれる
- ホームステイ先の受け入れは自分ひとり
- いつも自分を気にかけてくれて、たくさん話をしてくれる
- 駅から近くて学校にも近い便利な立地
- 部屋は広くて綺麗、豪華なお家
、、、あげればキリがありませんが、たぶんテレビ番組の中で特集されるホームステイや、映画の中で出てくる家庭がこんな感じなのかな、と思います。
最初から夢を壊して申し訳ないのですが、実際にはこんなご家庭はまずありません(笑)。
ホームステイを希望されている方には、基本的に全員にご案内しているのですが、ホームステイを成功させる一番の秘訣は、とにかく「ホームステイの正しい知識を身につけること」と「期待過剰しないこと」です。
「実際のホームステイはこんな感じ」という中から、特に重要な部分を3つだけご紹介します。
現実のホームステイ
1. ホームステイは移民家庭の場合も多い
カナダもオーストラリアもアメリカも、移民が多い国です。ステイ先が、純粋なカナディアン、オージー、アメリカンではなく、他の国からの移民や、移民の二世などのご家庭ということもあります。
人種もアジア系、ヨーロッパ系、南米系と様々です。チャイニーズカナディアン、アフリカンアメリカンなど、テレビなどで聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。また人種差別となるため、ステイ先のご希望に、人種やバックグラウンドを指定することはできません。
ただ、都市によって事情は多少異なります。たとえばオーストラリアなら、シドニーは移民家庭が多いですが、メルボルンやブリスベンは白人率があがります。カナダもトロントやバンクーバーは移民家庭が多いですが、ビクトリアは白人が80%と言われています。
ホストマザーはイタリア系移民の2世で、ホストファザーは中国系移民の3世です、といった家庭もよくあります。この場合、二人ともカナダ生まれ、カナダ育ちなので英語はネイティブです。でも血筋ではヨーロッパとアジアです。こうなると「カナダ人の定義って何?」となってきますよね。
ちなみに、都市部のホームステイは、ホームステイ先の受け入れ生徒が数名以上ということが多いです。少なければ2名、多ければ6〜8名なんていうこともあります。ですが、相部屋を希望しない限り、必ずお部屋は個室です。
2. ホームステイ先の食事がおいしくない!
これは実際にホームステイをされた方からよくいただく相談です。私も経験があります(笑)。
食事のスタイルは国によって大きく違いますが、日本のように何品もおかずが並ぶ、ということは稀です。ホームステイ先の食事が自分の好みでない可能性があることはある程度覚悟しておきましょう。
ホームステイ先のファミリーはあくまで一般家庭です。共働きの家庭、シングルマザーの家庭もあります。また必ずしもホストファミリーが料理上手とも限りません。
日本でも、専業主婦などで時間があり、料理が好きで料理上手なお母さんがいる一方、時間があるないに関わらず料理をほとんどしない方、料理が得意でない方もいますよね。
海外では冷凍食品を使うご家庭も多いですし、食事も日本と比べると質素で、晩御飯はワンプレート、ピザやパスタ、ラザニアに少しのサラダだけ、ですとか、ハンバーガーだけ、ピザだけ、ということも多いです。
私が経験した一番最初のホームステイ先は、両親が共働きで、ホストファザーが晩御飯を担当する日も多くありました。3日連続でバーガーだったこともあります。しかも「昨日はマクドナルド」「今日はウェンディーズ」「明日はバーガーキング」と全部テイクアウトメニュー!(笑)その翌日にようやく野菜が出てきてくれてホッとしたのを覚えています(笑)
ちなみに、北米やオーストラリアではお米を主食にしている家庭は少なく、パスタかパン、じゃがいもを主食としている家庭が多いです。お米はあまり出てきません。出てきたとしても、日本のようなモチモチしたお米ではなく、ジャスミンライス、いわゆるタイ米のようなお米です。
家庭によって異なるためあくまで傾向ですが、食事が美味しいと評判なのは、アジアやヨーロッパの移民家庭です。
- フィリピン系移民のご家庭
お米がよく出ます。アジア人好みの味付けの料理が多いため、日本人の口に合うようです。 - イタリア系移民のご家庭
日本人に馴染みにある味付けのパスタやピザが多いです。料理上手なホストマザーが多い傾向にあります。パスタソースを手作りされる方も多いです。
余談ですが、上記フィリピン系、イタリア系のホストファミリーは、世話好きな方が多く「たくさん話をしたい、たくさん交流したい、かまってもらいたい」という方に向いています。
逆にいわゆる「カナディアン」「アメリカン」という白人のご家庭は、どちらかというと、よく言えば自立した関係を好む、悪く言えば放置(笑)ということがよくあります。基本的には自分から話しかけないと、ホストファミリーは「この子はあまり話したがらないんだな」と思い、家族からは話しかけてくれません。積極的に自分から話しかける必要があります。
3. 駅から近くて学校にも近い便利な立地
残念ながらこれも難しいです。なぜならホストファミリーは街の真ん中ではなく、少し郊外の住宅地に住んでいることが多いためです。
日本の場合を少し考えてみてください。わかりやすく言うと、語学学校は街の真ん中、例えば東京なら東京駅や新宿駅、大阪なら大阪駅や難波駅の近くにあります。
では、東京駅や新宿駅、大阪駅の近くに、一般家庭の方がどれくらい住んでいるでしょうか。オフィスビルばかりで、住んでいる人は少ないですよね。戸建が集まる住宅地は郊外にあり、みなさん通勤や通学に30分〜1時間、中にはそれ以上かけている方も多いと思います。
海外も同じです。街の中心には忙しい社会人や学生の一人暮らしの方が多く、戸建てのファミリーは少し郊外に住んでいます。そして家の大きさも、郊外になればなるほど大きくなる傾向にあります。
いかがでしょうか。「へ〜、ホームステイってこんな感じなのか」と少しでも知識をつけていただけたら嬉しいです。
ホームステイがうまくいかない人の傾向
続いて、ホームステイがうまくいかない人の傾向はだいたいこんな感じです。
- こっちはお金を払っているのに!という思考の方
- 相手の文化・習慣を尊重できない方
ホームステイはホテルではありません。ホームステイ先の義務は「住居と食事を提供すること」であり、生徒をゲストとして扱うことではありません。ここを勘違いしている方が多いです。
ホームステイはあくまで「現地の一般家庭を体験するプログラム」です。各家庭のルールがあり、それを尊重する必要があります。それを煩わしいと思う方は、数は限られますが学生寮を利用するか、ホテル等を利用されることをおすすめします。
逆に、3日間テイクアウトのハンバーガーが続いても、ホストマザーのお料理がおいしくなくても、一緒に外出できた思い出が買い出しのスーパーだけでも、家の中で子供達が兄弟喧嘩をしても、突然夫婦喧嘩が始まっても、ペットのわんちゃんがカーペットの上で粗相をしても、、、これらすべて私が経験したことですが(笑)、「へ〜これがこの国の文化なのか」と受け入れて、それを楽しむことができる方は、どんなホストファミリーにあたっても、「いい経験だった!」と思える一生の思い出になるでしょう。
みなさん、ぜひホームステイの正しい知識を身につけて、ホームステイを楽しい思い出にしてくださいね。